介護・仕事

介護離職する前に|仕事を辞めずに介護を続ける制度と工夫

📖 読了目安:約7分 🗓 更新日:2026年6月

親が倒れた、認知症が進んだ、退院後に在宅介護が必要になった——突然のことに、「もう仕事を辞めて、自分が看るしかない」と感じている方は少なくありません。目の前の親のことで頭がいっぱいになると、退職届がいちばん早い解決策に見えてしまうものです。

けれど、結論を急ぐ前に立ち止まってほしいことがあります。介護を理由に仕事を辞めると、いったん収入が途絶え、再就職も介護が続く限り簡単ではありません。そして介護は、想像より長く続くことが多い。一方で、辞めずに乗り切るための制度や支援は、思っているよりたくさんあります。この記事では、離職を避けながら介護を続けるための選択肢を整理していきます。

仕事を辞めるしかないと思い詰める前に、少し立ち止まってみてください。あなたの人生を守る選択肢は、まだ残されています。

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「辞めれば楽になる」とは限らない理由

介護のために退職すると、目の前の負担は一時的に軽くなったように感じます。しかし実際には、収入の減少・社会的なつながりの喪失・再就職の難しさという新たな課題が生まれることが多いとされています。介護に専念したことでかえって本人が孤立し、心身ともに追い詰められてしまうケースも指摘されています。

介護がいつまで続くかは、誰にも正確には読めません。数か月で落ち着く場合もあれば、年単位になることもあります。期間や金額はケースによって大きく異なりますが、「辞めればすべて解決する」という前提はいったん脇に置いて、仕事を続けながら介護する方法を先に検討してみてください。最終的に退職を選ぶとしても、選択肢を比べたうえで決めるほうが、後悔は少なくなります。

退職は「最後の手段」と考えてください。先に制度・支援・働き方の見直しを試し、それでも難しいときに初めて検討する。順番を逆にしないことが、あなた自身の生活と将来を守ることにつながります。

知っておきたい「仕事と介護の両立」を支える制度

家族の介護を担う働く人のために、法律で定められた制度がいくつかあります。会社の就業規則や雇用形態によって利用条件は異なるため、あくまで目安として知っておき、詳しくは勤務先や公的窓口で確認してください。

  1. 介護休業

    対象家族1人につき、通算で一定日数まで(一般に93日まで・分割取得も可とされます)仕事を休める制度です。介護の体制を整える「準備期間」として使うのが基本。要件を満たせば雇用保険から給付金が受けられる場合もあります。

  2. 介護休暇

    通院の付き添いや手続きなど、短時間の用事に使える休暇です。年に数日(対象家族の人数に応じて日数が変わります)取得でき、時間単位で使える場合もあります。突発的な対応に向いています。

  3. 短時間勤務・時差出勤などの措置

    勤務時間の短縮、時差出勤、フレックスタイムなど、働き方を調整できる仕組みです。会社によって用意されている内容が異なるため、自分の勤務先で何が使えるかを確認しましょう。

  4. 所定外労働・時間外労働の制限

    介護中は残業や深夜労働を免除・制限してもらえる制度もあります。「定時で帰れるだけで助かる」という人も多く、申し出によって認められる場合があります。

  5. テレワーク・在宅勤務の活用

    制度として整っていれば、在宅勤務で通勤時間を介護に回せます。法定の制度ではありませんが、会社と相談する価値のある選択肢です。

制度の名前や日数、給付の有無は改正や勤務先の規定によって変わります。ここに書いたのはあくまで一般的な目安です。実際に使えるかどうか・条件の詳細は、勤務先の人事・総務、ハローワーク、お住まいの自治体の窓口で必ず確認してください。

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会社にどう相談すればいいか

「介護のことを職場に言いづらい」と感じる方は多いものです。でも、黙って一人で抱え込むほど、無断の遅刻・早退が増え、かえって信頼を失いかねません。早めに、できれば制度を使いたいという形で具体的に相談するほうが、職場も対応しやすくなります。

相談するときは、「親の介護で、しばらく通院の付き添いが必要になりそうです」「介護休暇や短時間勤務の制度について教えてください」と、感情ではなく事実と希望を伝えるのがコツです。すべてを話す必要はありません。何にどれくらい時間が必要かを整理してから話すと、現実的な落としどころを一緒に探りやすくなります。窓口は直属の上司だけでなく、人事・総務部門が制度に詳しい場合もあります。

ケアマネ・地域包括支援センターを「介護の司令塔」にする

仕事を続けながら介護するうえで、最大の味方になるのが専門職の存在です。あなた一人で全部を背負う必要はありません。介護保険サービスを上手に組み合わせれば、日中の見守りや身体介護、通院の付き添いなどを外部の力に任せられます。

要介護認定を受けていれば、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作ってくれます。「平日の日中は仕事で家を空ける」「夜だけ自分が看たい」といった事情を率直に伝えれば、それに合ったサービスの組み方を提案してもらえます。まだ認定を受けていない、何から始めればいいか分からないという段階なら、まずは地域包括支援センターへ。お住まいの地域の高齢者支援の相談窓口で、無料で利用できます。

「仕事と介護を両立できている人」の多くは、自分だけで頑張っているのではなく、制度とサービスと相談先をうまく組み合わせています。介護は団体戦です。司令塔となる専門職をつけることが、離職を避ける一番の近道になります。

両立できる体制を整えるための進め方

気持ちが焦っているときほど、順番が大切です。退職を決断する前に、次の流れで一つずつ手を打ってみてください。どれも今日から始められることです。

まず、地域包括支援センターまたはケアマネに連絡し、使える介護サービスを把握する。次に、勤務先で使える制度を人事・総務に確認する。そのうえで、「仕事の時間」と「自分が介護する時間」をカレンダーで見える化し、足りない部分をサービスで埋める。この三つを進めるだけで、「辞めるしかない」と思っていた状況が、「これなら続けられるかもしれない」に変わることは珍しくありません。それでも難しいと感じたときに、退職を検討すれば十分です。

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