実家の押し入れの上段、階段下の物入れ、客間の床の間の脇。人形の箱は、たいてい家の中でいちばん手をつけにくい場所に眠っています。
片付けを進めていて、ほとんどの物は割り切って処分できたのに、人形の前で手が止まる。この記事は、そこで止まってしまった方に向けて書いています。
人形を処分するのがためらわれるのは、気持ちの問題であると同時に、「顔がある物を捨てる」という行為そのものへの抵抗でもあります。多くの人が同じところでつまずくので、「自分は割り切れない性格なのだろうか」と責める必要はまったくありません。
実務的に言えば、人形の片付け方は次の3つに整理できます。どれが正しいということはなく、家族の気持ちと、残っている量で決めて構いません。
きょうだいや親族に飾る人がいれば、いちばん自然な形です。ただし「置き場所がある人」に限ります。押し入れを移動させるだけになりがちなので、実際に飾るかどうかを確認してから渡します。
神社やお寺の人形供養、あるいは宅配で送る供養サービスを使う方法です。気持ちの区切りをつけたい場合に選ばれます。
作家物や古い日本人形、状態のよい市松人形などは、値段がつくことがあります。「価値があるかどうか分からない」段階で査定に出すのは、判断材料を増やすという意味で合理的です。
ひな人形・五月人形は、多くの場合そのままでは買取の対象になりにくいのが実情です。サイズが大きく、飾る人が減っていて、需要が限られるためです。一方で、次のようなものは査定に出す価値があります。
判断に迷うときは、「箱と付属品を捨てないこと」だけ守れば十分です。箱書き、証紙、道具一式は評価の材料になります。人形だけ取り出して箱を先に潰してしまうケースが多いので、そこだけ気をつけてください。
供養の方法は大きく2つあります。神社やお寺に持ち込む方法と、宅配で送る方法です。遠方に住んでいて実家に何度も足を運べない場合は、後者のほうが現実的です。
宅配の供養サービスは、箱に詰めて送ると読経のうえで供養してもらえるという仕組みのものが多く、人形以外の写真・手紙・お守りなども一緒に受けてもらえる場合があります。「人形だけでなく、捨てにくいものがまとめて出てきた」という状況には合っています。
人形の顔に塩を盛る、白い布に包む、といった作法を気にされる方がいますが、宗派や地域によって言われ方が違い、決まった正解はありません。気になる場合は、供養を依頼する先に確認するのがいちばん確実です。
実家の片付けで人形が出てくる場合、たいてい人形だけが問題なのではありません。桐箱、屏風、緋毛氈、雛壇、五月人形の兜と台。付属品が場所を取っていて、それらを含めるとかなりの量になります。
人形を供養や買取に回したうえで、残った台や箱は不用品として処分する、という二段構えにすると進みやすくなります。先に「残すもの・供養するもの・売るもの・捨てるもの」に分けておくと、業者に頼むときも話が早くなります。
人形が何体あって、どこまで残すか。ここは家族によって答えが違うところです。「うちの場合はどう考えればいいか」を整理したい方は、状況を教えてください。