親を見送ったばかりで、心も体も休まらないうちから、役所や金融機関の手続きが次々と押し寄せてくる——。「葬儀の段取りで精一杯なのに、まだやることがあるの?」と途方に暮れる方は少なくありません。手続きの種類は驚くほど多く、しかもそれぞれに「いつまでに」という期限があるものが含まれます。何も知らないまま日が過ぎてしまうと、後で慌てることになりかねません。
ただ、安心してください。すべてを一度にやる必要はありませんし、順番にこなしていけば必ず終わります。大切なのは、「いつ」「何を」やるのかを時系列で把握しておくこと。この記事では、葬儀直後にやること、14日以内にやること、そして期限がやや先の相続関連まで、目安となる流れを整理しました。なお、制度や必要書類は状況によって細かく異なります。実際の手続きでは、必ず市区町村の窓口や専門家にご確認ください。
悲しみの中で次々と手続きに追われ、心も体も限界に近いはずです。全部を一度に抱えず、できることから一つずつで構いません。
亡くなった直後に最優先となるのが、死亡届と火葬許可申請です。死亡届は、医師が作成する死亡診断書と一体になった用紙で、原則として亡くなったことを知った日から7日以内に市区町村へ提出します。届出と同時に火葬許可証が交付され、これがないと火葬ができません。実際にはこの一連の手続きを葬儀社が代行してくれることが多いので、まずは葬儀社に相談するのが現実的です。
この時期は心身ともに余裕がありませんから、無理に一人で抱え込まないことが何より大切です。死亡診断書は、後の保険金請求や各種手続きで何度も必要になります。原本はもちろん、コピーを複数枚とっておくと後々の手間が大きく減ります。
葬儀が一段落したら、次は役所での届け出です。期限が短いものが多いため、できるだけ早めに着手しましょう。主なものは次のとおりですが、対象になるかどうかは故人の状況によって変わります。
年金を受け取っていた場合は、受給を止める手続きが必要です。国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内が目安とされています。あわせて、まだ受け取っていない年金(未支給年金)を遺族が請求できるケースもあります。
国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険の保険証を返却し、資格喪失の届け出をします。一般に14日以内が目安です。葬祭費・埋葬料といった給付を受けられる場合もあるので、窓口で確認しましょう。
亡くなった方が世帯主で、残された世帯員が2人以上いる場合は、世帯主変更の届け出が必要になることがあります。こちらも14日以内が目安です。一人暮らしだった場合などは不要なケースもあります。
電気・ガス・水道、固定電話や携帯、新聞、サブスクリプションなど、契約していたサービスの名義変更や解約を進めます。法的な期限はありませんが、放置すると料金が発生し続けるため、早めの対応が安心です。
これらの届け出には、故人と届出人の関係がわかる書類や本人確認書類、保険証・年金手帳などが必要になることがあります。市区町村によって必要書類が異なるため、出向く前に役所のホームページや電話で「持ち物」を確認しておくと、何度も往復せずに済みます。「おくやみコーナー」を設けて手続きをまとめて案内してくれる自治体も増えています。
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公的な届け出が済んだら、いよいよ相続に関わる手続きです。こちらは期限がやや先のものが多いものの、放っておくと不利益が生じる重要な期限が含まれます。代表的なのが、相続放棄や限定承認の3か月以内、故人の所得税を申告する準確定申告の4か月以内、相続税の申告・納付の10か月以内です(いずれも相続の開始を知った日などが起算点の目安です)。
まず行いたいのは、遺言書の有無の確認と相続人・相続財産の把握です。預貯金・不動産・有価証券といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含めて確認します。借金が多い場合などには相続放棄という選択肢もありますが、これは3か月という短い期限が関わるため、早い段階での判断が欠かせません。金額や税額の有無はケースによって大きく変わるので、目安として捉え、具体的な判断は専門家に相談してください。
なお、金融機関は名義人の死亡を把握すると口座を凍結します。当面の生活費や葬儀費用の支払いに困らないよう、預貯金の払い戻し制度などの仕組みもあります。手続きの進め方に不安があれば、早めに窓口や専門家に確認しておくと安心です。
「ここまで読んで、やっぱり大変そう…」と感じた方もいるかもしれません。手続きの中には、自分でできるものと、専門家に任せたほうが安心なものがあります。無理にすべてを抱え込む必要はありません。
役所での届け出や名義変更の多くは、必要書類さえそろえれば自分で進められます。一方で、相続税の申告は税理士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続人どうしの争いが心配なときは弁護士、というように、専門性が高い部分はその道の専門家に依頼するのが一般的です。費用はかかりますが、ミスや手戻り、期限切れのリスクを減らせます。誰に頼めばいいか分からないときは、まず相続に詳しい窓口に相談し、適切な専門家につないでもらうとよいでしょう。
そして忘れてはいけないのが、遺品整理や実家の片付け、空き家になった実家をどうするかという問題です。手続きと並行して、あるいは少し落ち着いてからになりますが、これも多くのご家族が直面する大きなテーマです。一つずつ、できるところから進めていきましょう。
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